第一回の「木工家の家具展」で、ちょうど入場者数が千人を超えた日。東日本大震災は起こりました。僕はちょうど会場の当番を担当していて、お客さんを誘導して会館の外に逃げたことを思い出します。
あの未曾有の大災害を目の当たりにして、木工家としての僕に何が出来るのか・・・この問いかけはおそらく生涯続くのでしょう。
自分の近しい人が災害に巻き込まれたとしたら「とにかくどんな姿であれ生きていて欲しい」と願ったのではないかと思います。それは、自分が関わった家具でも同じ。本来の使われ方でなくてもいいから、誰かの元で何かの役に立っていて欲しいものです。
繊細で美しい家具はもちろん魅力的です。
しかし、その一方で、強かで生命力豊かな「道具」としての家具は、これからの僕らの暮らしに必要なものではないでしょうか。
今の僕に出来ること。それは「生き残る道具」をつくること。
「積み木」のように重力と摩擦力を接着剤にして、一つのパーツがなくなれば似たような物を補充していつまでも遊んでいられるような、そんな逞しいものが作りたいです。
「単純な構成」
「木組みを巧みに利用した分解方式」
今回の「木工家の家具展」には上記の二つの点に考慮した「組立式イージーチェア」を出品する予定です。
いつまでもいつまでも、誰かの身体を休める存在として、この世に残っていて欲しいとの願いを込めました。
第一回展に込めた思いはこちら↓
2011年2月26日土曜日
「尊敬」の連鎖
http://tamo2s.blogspot.jp/2011/02/blog-post_26.html